この記事でわかること
アマチュア無線4級(第四級アマチュア無線技士)は、アマチュア無線の入門資格です。FPVドローンの映像伝送に必要な5.8GHz帯を使うためにも、この資格が最低限必要になります。
この記事では、2つの取得ルート(国家試験・養成課程)の違い、試験内容と合格基準、合格率、おすすめの勉強法、費用比較、取得後の流れまでまとめて解説します。
アマチュア無線4級とは
資格の位置づけ
アマチュア無線技士の資格は4級から1級までの4段階があります。4級は最も取得しやすい入門レベルの資格です。
| 級 | 操作できる範囲 | 最大空中線電力 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 4級 | HF帯の一部、VHF/UHF/SHF帯 | 20W以下(HF帯は10W以下) | 入門 |
| 3級 | 4級の範囲+HF帯が拡大 | 50W以下 | やや易しい |
| 2級 | ほぼ全ての周波数帯 | 200W以下 | 中級 |
| 1級 | 全ての周波数帯 | 制限なし | 上級 |
4級でもVHF帯・UHF帯・SHF帯を幅広く使えるため、FPVドローン(5.8GHz帯)やハンディ機での通信など、一般的な用途には十分です。
FPVドローンとの関係
FPVドローンのVTX(映像送信機)は5.8GHz帯のアマチュア無線帯域を使用します。この周波数帯はアマチュア無線4級の操作範囲に含まれるため、4級を取得すればFPVドローンの運用が可能です。
FPVドローンの手続き全体については「FPVドローンの始め方|免許・機体・申請の全手順まとめ」をご覧ください。
必要な資格・条件
アマチュア無線4級の受験に年齢制限や学歴の条件はありません。誰でも受験できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 制限なし(年齢・学歴不問) |
| 国籍要件 | なし(外国籍の方も受験可能) |
| 必要な書類 | 受験申請書、写真、本人確認書類 |
取得方法: 2つのルート
アマチュア無線4級を取得するルートは2つあります。
ルート1: 国家試験を受験する
日本無線協会(NIART)が実施する国家試験を受験して合格する方法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験方式 | CBT方式(コンピュータ試験) |
| 試験会場 | 全国のCBTテストセンター |
| 試験日 | 通年実施(テストセンターの空き状況による) |
| 受験料 | 5,163円 |
| 結果通知 | 試験終了後に即日判定 |
CBT方式のため、自分の都合に合わせて受験日を選べるのが大きなメリットです。
ルート2: 養成課程講習会を受講する
JARD(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会)等が実施する養成課程講習会を受講し、修了試験に合格する方法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講習形式 | 集合講習(2日間)またはeラーニング |
| 講習内容 | 法規6時間+工学4時間 |
| 修了試験 | 講習最終日に実施 |
| 費用 | 23,150円〜(講習機関による) |
| 合格率 | ほぼ100%(修了試験は講習内容から出題) |
養成課程は費用が高い分、講師の指導のもと体系的に学べ、修了試験の合格率が非常に高いというメリットがあります。「確実に取得したい」「独学が苦手」という方におすすめです。
2つのルートの比較
| 項目 | 国家試験 | 養成課程 |
|---|---|---|
| 費用 | 5,163円 | 23,150円〜 |
| 所要日数 | 試験当日のみ(勉強期間は別途) | 2日間(eラーニングは自分のペースで) |
| 合格率 | 約80% | ほぼ100% |
| 勉強の必要性 | 独学で1〜2週間 | 講習中に学べる |
| 結果判明 | 試験直後 | 修了試験直後 |
| おすすめの方 | 費用を抑えたい方、自分で勉強できる方 | 確実に取得したい方、短期集中で学びたい方 |
費用を抑えたい方は国家試験、確実に取得したい方は養成課程がおすすめです。
申請の手順
国家試験ルートでの取得手順を解説します。
Step 1: 試験の申し込み
日本無線協会のWebサイトから受験を申し込みます。CBT試験のため、全国のテストセンターから希望の日時と会場を選択できます。
受験料5,163円をオンラインで支払います。
Step 2: 試験の勉強をする
試験内容(後述)に沿って勉強します。過去問を中心に学習すれば、1〜2週間の勉強で合格可能です。
Step 3: 試験を受験する
試験当日、選択したテストセンターでCBT方式の試験を受験します。試験時間は60分です。試験終了後、画面上で合否が即日判定されます。
Step 4: 無線従事者免許証を申請する
合格後、無線従事者免許証の申請を行います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 総合通信局 |
| 必要書類 | 免許申請書、写真、合格通知のコピー、手数料 |
| 手数料 | 1,750円 |
| 処理期間 | 約1〜2ヶ月 |
免許証は総合通信局から郵送されます。免許証を受け取って初めて、アマチュア無線局の開局申請に進めます。
Step 5: 開局申請へ
無線従事者免許証を取得したら、アマチュア無線局の開局申請を行います。開局申請の手順は「アマチュア無線の開局申請|電子申請での手順を解説」で解説しています。
試験内容
出題範囲と問題数
国家試験は法規と無線工学の2科目で構成されます。
| 科目 | 問題数 | 合格基準 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 法規 | 12問 | 8問以上正解 | 60分(2科目合計) |
| 無線工学 | 12問 | 8問以上正解 | 同上 |
2科目とも合格基準を満たす必要があります。どちらか一方だけ合格しても不合格です。
法規の出題範囲
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 電波法の目的 | 電波法の趣旨、無線局の定義 |
| 無線局の免許 | 免許の申請、再免許、変更、廃止 |
| 無線設備 | 技術基準、スプリアス発射の許容値 |
| 無線従事者 | 資格の種類、操作範囲 |
| 運用 | 通信方法、呼出・応答、非常通信 |
| 監督 | 電波利用料、罰則 |
無線工学の出題範囲
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 基礎理論 | オームの法則、直流・交流回路 |
| 電子回路 | ダイオード、トランジスタの基礎 |
| 送信機 | 変調方式(AM、FM)、発振回路 |
| 受信機 | スーパーヘテロダイン受信機の構成 |
| 空中線・給電線 | アンテナの種類、同軸ケーブル |
| 電波伝搬 | 電離層反射、VHF/UHFの伝搬特性 |
| 測定 | 電力計、SWR計の使い方 |
合格率
4級の国家試験の合格率は約80%前後で推移しています。
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2022年度 | 約81% |
| 2023年度 | 約79% |
| 2024年度 | 約80% |
無線の知識がゼロの方でも、過去問を繰り返し解けば1〜2週間の勉強で十分に合格できる難易度です。
費用・手数料
国家試験ルートの費用
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 受験料 | 5,163円 |
| 無線従事者免許証の申請 | 1,750円 |
| 合計 | 6,913円 |
養成課程ルートの費用
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 養成課程受講料(JARD集合講習) | 23,150円 |
| 無線従事者免許証の申請 | 1,750円 |
| 合計 | 24,900円 |
eラーニング形式の養成課程では費用が異なる場合があります。実施機関のWebサイトで最新の金額を確認してください。
おすすめの勉強教材
| 教材 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| 過去問題集(書籍) | 直近数年分の過去問を収録。解説付き | 1,000円〜2,000円 |
| 無料の過去問サイト | Web上で過去問を練習可能 | 無料 |
| アマチュア無線4級テキスト | 基礎から体系的に学べる | 1,500円〜2,500円 |
最も効率的な勉強法は「過去問を繰り返し解く」ことです。4級の試験は過去問と同じか類似した問題が多く出題されるため、過去問を3〜5周すれば合格圏内に入ります。
電子申請と書面申請の違い
免許証の申請は郵送(書面)のみです。ただし、試験の申し込みはWebから行えます。
| 手続き | 方法 |
|---|---|
| 試験の申し込み | Web(日本無線協会サイト) |
| 免許証の申請 | 書面(申請書を総合通信局に郵送) |
将来的に電子化が進む可能性がありますが、2026年3月時点では免許証の申請は書面手続きです。
よくある質問
Q. 何歳から受験できる?
年齢制限はありません。小学生でも受験可能です。実際に10歳前後で合格する方もいます。
Q. 勉強期間はどれくらい必要?
1〜2週間が目安です。無線の知識がゼロの方でも、過去問中心の学習で2週間あれば合格ラインに達します。理系の基礎知識がある方なら1週間でも十分です。
Q. 4級と3級どちらを先に取るべき?
まずは4級からの取得をおすすめします。4級で合格してから3級にステップアップするのが一般的です。4級の知識がベースになるため、3級の勉強も楽になります。3級の取得方法は「アマチュア無線3級の取得方法|4級との違いと試験対策」をご覧ください。
Q. FPVドローンだけが目的なら4級で十分?
はい、4級で十分です。FPVドローンのVTX(5.8GHz帯)は4級の操作範囲に含まれています。より広い周波数帯や高出力を使いたい場合は3級以上が必要ですが、FPV目的なら4級だけで問題ありません。級ごとに使える周波数帯の詳細は「アマチュア無線の周波数帯|級ごとに使える範囲を解説」をご覧ください。
Q. 国家試験に落ちたらどうなる?
何度でも再受験できます。受験回数に制限はありません。再受験の際は改めて受験料(5,163円)が必要です。CBT方式のため、再受験の日程も柔軟に選べます。
Q. 合格後、免許証が届くまでに無線局を開局できる?
免許証がなければ開局申請はできません。合格通知だけでは不十分で、無線従事者免許証の原本が必要です。免許証の発行には1〜2ヶ月かかるため、合格後は早めに免許証の申請を行ってください。
まとめ
アマチュア無線4級は、合格率約80%の取得しやすい国家資格です。
- 国家試験なら6,913円、養成課程なら24,900円で取得可能
- 試験は法規12問+工学12問、各8問以上正解で合格
- 過去問を中心に1〜2週間の勉強で合格可能
- FPVドローンの5.8GHz帯VTXを使うには4級以上が必須
- 合格後は無線従事者免許証の申請(1〜2ヶ月)を忘れずに
開局申請の手順は「アマチュア無線の開局申請|電子申請での手順を解説」をご覧ください。